1959年にかかれたものだが、古さを感じさせないモダンホラー。
「たたり」という邦題は内容に関係ないのだが、その寒々しい響きが妙にマッチしている気もする。
これまで暗い青春時代を送ってきた暗い性格の女性が、不気味な幽霊屋敷にやってくる。そこで起こる数々の怪奇現象。それは彼女の内的世界と次第に溶け合っていき、虚構と現実が交じり合う。その描写が寂しく、恐ろしい。幽霊の描写よりも、現代人の孤独…つまり他人というものにちょっとした恐怖感を抱いていて、自分の小さな世界からこわごわ「外」をのぞいている人間の孤独の描写が、的確で恐ろしいのである。
私はホラーの最高傑作だと思っているが、あまりピンと来ない人もいるかもしれない。それでもこういうホラーもあるのか、という発見にもなるかと思うので、ホラー好きにはとりあえずオススメしたい。
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たたり (創元推理文庫 F シ 5-1) 文庫 – 1999/6/1
ダブルポイント 詳細
幽霊屋敷と噂される〈丘の屋敷〉。心霊学者モンタギュー博士は三人の協力者を呼び集め、調査を開始した。迷宮のように入り組み、彼らの眼前に怪異を繰り広げる〈屋敷〉。そして、一冊の手稿がその秘められた過去を語りはじめるとき、何が起きるのか? スティーヴン・キング『シャイニング』に影響を与えた古典的名作、待望の新訳決定版。
- 本の長さ332ページ
- 言語日本語
- 出版社東京創元社
- 発売日1999/6/1
- ISBN-104488583016
- ISBN-13978-4488583019
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登録情報
- 出版社 : 東京創元社 (1999/6/1)
- 発売日 : 1999/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 332ページ
- ISBN-10 : 4488583016
- ISBN-13 : 978-4488583019
- Amazon 売れ筋ランキング: - 850,041位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2004年7月2日に日本でレビュー済み
恐怖映画の好みがちょっとうるさい私ですが、この話は大好きです。私が恐怖映画に求める条件は、「原因はわからないが現象は起きる」というもので、「テナント」「世にも怪奇な物語(悪魔の首飾り)」「ブレアウィッチプロジェクト」「シャイニング」「エクソシスト」などがそれを満たします。
で、この本はすばらしい。主人公がサエない女ってのもいい。それで、なんだかおかしくなっていくグラデーション具合もたまらない。ただ、本書とか「ねじの回転」とか、「なんだかわからないけどなんかおかしい」系の恐怖小説は、読者側にもそれなりの想像力が必要となるので、わかりやすい怖さ(待ちぶせ系とか)が好きな人には向かないかも。
で、この本はすばらしい。主人公がサエない女ってのもいい。それで、なんだかおかしくなっていくグラデーション具合もたまらない。ただ、本書とか「ねじの回転」とか、「なんだかわからないけどなんかおかしい」系の恐怖小説は、読者側にもそれなりの想像力が必要となるので、わかりやすい怖さ(待ちぶせ系とか)が好きな人には向かないかも。
2006年4月6日に日本でレビュー済み
スティーブン・キングが、ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』と並んで絶賛したというこの作品。ホラーの傑作として名高いという評価がなされており、そして、即物的ではないにせよ、確かにスタイルはホラーではあるのですが、シャーリイ・ジャクスンの作品らしい、とにかくこの世で一番救いがたいのは、成仏(?)できない霊なんかではなく、人間だ、というテーマが底流しています。
「嫌な人間」を描かせると、シャーリイ・ジャクスンは絶品です。
主人公エレーナは、32歳の女性、母親の介護で家の外にほとんど出たことがなく、仲の悪い姉夫婦の家に居候している身。ベッドは子供用の簡易寝台、という一点だけでも十分主人公の立ち位置がわかりますが、冒頭の、姉夫婦から車を借りる(と言っても半分はエレーナにも使う権利がある)ところなど、姉夫婦の不愉快さに読んでいるだけで胃が痛くなりました。母親の死後やっと外の世界に出られたと思ってたどりついたのが、「丘の屋敷」だった。博士にとってはただの研究対象、博士の妻にとってはただの趣味、他に招かれた女性にとってはただのバカンス、でも、手に職もなく、自分を愛してくれる友人も恋人も家族も家もなく、何も持たないエレーナにとっては…。
そして、すがりつく主人公を、作者は嘲笑うような結末へ導きます。
もし、日々の生活で何かイヤなことにぶつかってとても落ち込んでいて、明日は会社や学校に行きたくないなあ、と思っているときに、この本はお薦めしません。
ですが、人間には確かにこういうどす黒い部分があり、「涙」や「感動」だけを求めてするのが読書ではない、ということを、改めて考えさせられました。
繰り返しますが、シャーリイ・ジャクスンは絶品です。
絶品ですが、こんなふうにしか人間を見られなくなってしまったら、エレーナと同じ道をたどるしかないのかも知れません。
「嫌な人間」を描かせると、シャーリイ・ジャクスンは絶品です。
主人公エレーナは、32歳の女性、母親の介護で家の外にほとんど出たことがなく、仲の悪い姉夫婦の家に居候している身。ベッドは子供用の簡易寝台、という一点だけでも十分主人公の立ち位置がわかりますが、冒頭の、姉夫婦から車を借りる(と言っても半分はエレーナにも使う権利がある)ところなど、姉夫婦の不愉快さに読んでいるだけで胃が痛くなりました。母親の死後やっと外の世界に出られたと思ってたどりついたのが、「丘の屋敷」だった。博士にとってはただの研究対象、博士の妻にとってはただの趣味、他に招かれた女性にとってはただのバカンス、でも、手に職もなく、自分を愛してくれる友人も恋人も家族も家もなく、何も持たないエレーナにとっては…。
そして、すがりつく主人公を、作者は嘲笑うような結末へ導きます。
もし、日々の生活で何かイヤなことにぶつかってとても落ち込んでいて、明日は会社や学校に行きたくないなあ、と思っているときに、この本はお薦めしません。
ですが、人間には確かにこういうどす黒い部分があり、「涙」や「感動」だけを求めてするのが読書ではない、ということを、改めて考えさせられました。
繰り返しますが、シャーリイ・ジャクスンは絶品です。
絶品ですが、こんなふうにしか人間を見られなくなってしまったら、エレーナと同じ道をたどるしかないのかも知れません。
2002年5月23日に日本でレビュー済み
映画「ホーンティング」の原作として知られるこの作品は、ハヤカワ文庫『山荘綺談』の新訳です。旧訳も悪くないですがちょっと表現が古臭く、新訳のほうが圧倒的に読みやすい。ちょうど、映画「たたり」と「ホーンティング」を比較するような感じです。
ただし、映画のほうは、何か起こりそうで何も起こらない怖さに真骨頂のあるジャクスンの持ち味を生かしているという意味では、旧作のほうが雰囲気濃厚でした。
『ねじの回転』や映画「アザーズ」に関心のある方にはとっても向いているかも。
ただし、映画のほうは、何か起こりそうで何も起こらない怖さに真骨頂のあるジャクスンの持ち味を生かしているという意味では、旧作のほうが雰囲気濃厚でした。
『ねじの回転』や映画「アザーズ」に関心のある方にはとっても向いているかも。